高知石灰工業株式会社

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漆喰のこと

外壁漆喰の汚れ

2012年06月9日

一般的に、漆喰は強アルカリ性なのでカビは発生しない、ということが言われています。

しかし、強アルカリ性の漆喰といえども、環境によってはカビが発生し漆喰壁を汚してしまうこともあります。

従来から外壁の漆喰施工の場合は、できるだけ雨に濡れないような工夫がされてきました。神社やお寺、土蔵や土塀、和風住宅などは屋根の軒を出したり、建物の高さがある場合は庇を出すなどして、漆喰壁に直接雨があたらないようにしています。

 

また、壁の腰から下の部分は雨があたりやすいため、板張りや石張りにし、地面からの泥はねなどによる汚れにも対処できる仕上げを施している建物も多く見られます。

外壁に漆喰の建物。上部分は屋根の軒がないため黒く汚れている。下部分の庇がある所と手前の屋根の軒がある所は白くきれいな状態。

外壁の漆喰壁を汚れやカビから守るためには、このような対処をすることが基本となります。

しかし、昨今では、建ぺい率や建物のデザインの都合で、軒や庇の出がない、または少ない建物に漆喰を施工する事例がみられますが、漆喰の特性からしますと非常に汚れやすく、また、建物の方角によって日照不足で乾きにくいところなどは、付着した汚れに黒カビが発生し、本来は真っ白い漆喰壁が大変な状態になることがあります。

 

自然素材である漆喰を建築物に使うこうことは、塗り壁というデザイン的な魅力と同時に、地球環境に負荷をかけないECOな素材を採用するという価値観を大切にしていただきたいと切に願いますが、そのような自然素材を採用する場合は、漆喰に限らず、その素材の特性を十分理解した上で、できるだけ長く美観を保ち、年月を経て古くなっても味わい深く変化していけるような造りを考え、工夫していただきたいと思います。

下部分の拡大写真。庇の下は雨があまりあたらないためきれいだが、その横は直接風雨にさらされ汚れている。方角も北東で日当たりも少なく、乾きにくい。

手前部分の拡大写真。屋根の軒が少し出ているだけで、直接雨にあたらずきれいな状態を保っている。屋根の上の軒がない部分は黒く汚れている。